1年のうち301日を着物で過ごして思ったこと。

もう1年経ってたんだなぁ。

昨年(2016年)の元日、
店主は例によって着物を着ていましたが、
お正月にしこたま飲んだ勢いで、あることに挑戦し始めました。

「今年1年、できる限り着物を着て生活する!」

完全なその場の思いつきでしたが、なんとか初志貫徹のまま年末を迎えまして、
結果的に366日あったうちの301日を着物で過ごしていました。
300日を超えてくるとは思っていませんでしたね。ギリギリですけど。

着物を着ていない着物屋店員は信用できない、というのは
業界に入る前からずっと思っていることですが、
「これから普段着着物の店を始めるのに、
店主が普段着に着物を着ないでどうする?」
という勝手な思い込みから始まったんですよね。
間違ってはいないと思うんですけどね、うん。

というわけで、今回は1年間着物を着続けて思ったことなどを
だらだらとまとまりなく書いてみようと思います。
店主の体験談なので、他の人にそのまま当てはまるかは謎です。

現代社会でも着物生活は十分可能。

ひとまずこれを宣言しておきましょう。
着物を着ていることが要因で何か不便な思いをするようなことはほとんど何もありません。
もともと着物を着るのが好きな人ですので、
好きなものを好きなだけ着て過ごせたという時点で個人的にはかなり良かったです。

もっとも、今までの何十年かをほとんど洋服で過ごしてきて、いきなりそれを
逆転させる訳ですから、最初はちょっとめんどくさいなー、と思ったりもしました。
いくら慣れてる人でも着物の着付けは洋服以上に時間がかかるものです。
長い袂がうっとうしく感じられることもそりゃあります。
狭い部屋で袴を履いて歩いているとよく物が倒れます。笑
そしてドアノブが引っかかって行く手を阻んできます。

まぁそれでも人間は学習する生き物ですので、2週間もすれば
うまく動き回れるようになってきます。
そうするともう、着物を着たときのえもいわれぬ感覚に病みつきになります。
ゆったりしているのに帯を締めているからしゃきっとします。
そんな着物の体感覚が大好きなんです。

2週間を過ぎて1ヶ月くらい経つと、むしろ着物を着ている方が自然になってきます。
たまに着ない日があると「物足りなく」感じます。
遠くの物を取ろうとして無い袂を押さえたり、
階段を上がるときに必要ないのに裾を持ち上げようとしたりします。笑

まぁ要するに、着物が不便なんじゃなくて、着慣れていないから不便、という話です。

ここで重要なことをひとつ。
着物の時はトイレだけは我慢しない方が良いです。
ヤバイ、と思ってから駆け込んでも手順が多いのでエラい目に遭う可能性があります。
店主は焦った結果iPhoneを床に落としてヒビが入りました…><

着物を着ていて不便に感じられることをいろいろ書きましたが、
逆に便利なところもあります。
収納が多い(帯にはさんだり、懐に入れたり、袂に入れたり…)
保温性抜群(寒さに弱い店主が割と平気なレベルで暖かい。
お腹のところで布が重なってるので寒く感じないんですかね。但し夏は暑い)
素材が気持ちいい(正絹最高。ってこれは便利なところなのか)

目立つには目立つ。

着物を持っていて、着付けができても、着ている人が少ないのはなぜでしょうか。
他に着ている人がいないからです。
ひとりだけ着物を着て歩いたら目立っちゃって、恥ずかしい…。
そんな人がたくさんいるかと思います。まぁ、普通のことです。
「恥ずかしがってる場合じゃない!」とかそういうことは言いません。
実際、着物で電車通勤していた間、電車でも駅でも視線をすごく感じました。
特に店主の場合は「袴男子」ですからね。レアキャラにも程があります。
たまに弓道部らしき集団がいたときの連帯感というか安心感もすごかったです。笑

ただ、着物で出歩くことは全く悪いことではないわけで、
どうせ見られるなら堂々としている方が吉です。
変に意識すると逆に行動が変になりがちです。より怪しいです。
思い返して見れば、店主自身も着物の人を見かけると「おっ!」と
目で追ってしまうのですが、それは好奇の目ではなくて
「いいなぁ」という羨望か憧憬の目なんですよね。
余り気にしすぎない方が良いと思います。
まぁ、好奇の目であからさまに見てくるのがいない訳じゃないですけどね。
1年で2回くらいありましたかね。

それから毎日着物でいると「着物の人」として認識されるようになるので、
たまに着ていないと「あれ、今日は着物じゃないね」って言われたりもします。
そうなると、逆に着物を着ない訳にはいかなくなってきます…笑

着物好き→お金持ちと思ったら大間違いだ。

着物の雑誌がいろいろ出ていますが、そこに掲載されている人は
なんだかハイソでセレブな人が多いですよね。
しかしながら、着物好きの人がすべてそういう人な訳ではありません。
ま、店主を見れば分かると思いますが…苦笑

いわゆる「着物屋さん」に置いてある着物は
パソコンと同じくらいの値札が付いていますが
そうでない着物もたくさんありますからね。
リサイクル着物の店ブログを見てくださっている人に
改めて言うようなことでもないんですが。

過去に一度、何も持っていない状態から着物一式を揃えるのと
洋服一式を揃えるのと、どっちの方がお金がかかるかを
調べてみたことがあります。
着物は通販でもよく見る洗える素材の着物セット、
洋服は同じくとある店のオンラインショップで選んでみた。
結果、なんとわずかに着物の方が安かったのです。
何も持っていない状態からなので、下着やら何やら全て含めての値段です。
着物を揃えようと思った時に下着類も一緒に買わないといけないので、
なんだかお金がかかっているように思えますが、実はそうでもないと。
足袋を持っていない人はいても、靴下を持っていない人はほとんどいなそう。
そういうことでした。

その足袋やら肌着やらもしまむらで3枚セットみたいなのは見たことがないので
割高に思えるかも知れませんけど、その分長持ちしますので、コスパで言うと
洋服と同じくらいか、むしろ安いかもしれません。
1年はき続けている足袋でもなかなか穴が空いたりってしないんですよね。
(痕はついてるけど)

さて、そんなわけで、

思いの外長くなりましたが、着物を1年着続けた結果のレポートでした。
好きなものを着ているだけで自分に自信が持てるって重要なことです。
着物に限ったことでなくて、好きな洋服でも、なんでもそうですけどね。
ただ、着物が着てみたくて、でもなかなか踏み出せなくて…という人が
いるのなら、その一歩、今年踏み出してみましょう
思ったよりきっと楽しいです。

そして、1年着物着続けたから今年はもういいや…とはもちろんならず、
店主は着物生活2年目に突入しました。
今年も300日超えあるかなー。まぁでも無理せずいきましょう。
250日くらいを一応の目標にしておきます。

今年も着物生活中の店主とよそおい堂をどうぞ宜しくお願い致します!